CDボックスはリッピングして楽しもう
2014-02-20


リファレンス・ソフトのクラシックについて書いてたら、ずいぶんな文字数になっちゃったものでエントリを分けました。ここではちょっとPCオーディオ系音源について話しましょうか。

お恥ずかしい話なんですが、私はごく最近になるまでワーグナーの面白味が全然理解できませんでした。わが家にもワーグナーは何セットかありますから、好きになれるかと何度もチャレンジはしていたのですが、「ところどころに心掻きむしる、あるいは血沸き肉踊る展開が埋め込まれてはいるものの、あんな長いものをよく聴いていられるものだ」なんて感想にとどまってしまい、結局好んでトレイへ載せるようにはならなかったものです。

ところが、最近になって「ニーベルングの指輪」のCDをリッピングしてPCへ収めたんですよ。それで改めて再生してみたら何たることか、実にスルスルと耳へ入ってくるじゃないですか! いっぺんに通しで聴き切ってしまいました。ワーグナーがこんなに楽しかったなんて!

「ただリッピングしただけなのに、一体どこが違うんだろう?」とひとしきり考えてみたんですが、何のことはない、「ディスクのかけ替えがいらない」というポイントに尽きるんじゃないかと。手元の「指輪」はCD14枚組で、「ラインの黄金」だけでも2枚のCDを要しています。CDで聴いていると音楽が途中で途切れてしまい、かけ替えの際に「また今度でいいや」なんて思っちゃったが最後、その「今度」はもう当分訪れることはなく、結局どこまで聴いたかも分からなくなり、ということになりがちだったのです。

その点リッピング音源なら尺を気にせず1曲を1フォルダにまとめることが可能ですから、途中で止まる心配がありません。しかも、私は各楽曲ごとに作ったフォルダの下位へさらに幕ごとのフォルダで分類してありますから、楽曲を通しで聴くことも幕ごとに聴くことも可能になっています。非常に自由度が高いんですね。

同じことをCDでやろうとすると、ライナーノーツ首っ引きで盤をかけ替えながら行わなきゃいけませんでした。ゆったりとした気分で音楽鑑賞というにはいささか遠い営為といわざるを得ませんね。ましてLPレコードはA/B面もありますから、どれほどの手間であろうかと思うといささかウンザリするところなきにしもあらずです。

いや、もちろん故・長岡鉄男氏も絶賛されたショルティ/VPOの金字塔をアナログで聴いた際の感動もよく分かっています。所有している友人が少なくなく、いろいろな環境で聴かせてもらっていますからね。でも、それと「何も気にせず音楽のみに没入できる」喜びとは、全く別のジャンルに収めなければならないものだと思うのです。

ちなみに私が愛聴している「指輪」はギュンター・ノイホルト指揮、カールスルーエ・バーデン州立歌劇場のライブ盤です。私が買った時で確かセット2,000円したかどうか。だいぶ為替が下落した今なお3,000円も出さずに買えるウルトラ激安盤です。ちょっと前にクラシック・ファンの間では評判になりましたから、ご存じの人も多いでしょうね。

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CD

ワーグナー ニーベルングの指輪 全曲版

ギュンター・ノイホルト指揮、カールスルーエ・バーデン州立歌劇場管弦楽団、同合唱団ほか
独DOCUMENTS 224056 375 ※輸入盤

元はベラ・ムジカというレーベルから発売されたセットで、それがオランダのBrilliantで廉価盤となり、その数年後さらにMembran-Documentsで廉価盤化されるという数奇な運命をたどった音源。元の値段からしたら10分の1くらいになっているのではないだろうか。演奏・録音とも十二分に鑑賞に堪える、素晴らしいボックスセットである。


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