わがリファレンス・システム(アナログ編-その4 愛しのAT33シリーズ)
2014-01-29


先のエントリで一つ重要なわがリファレンス・カートリッジを忘れていました。オーディオテクニカAT33シリーズ。1981年に発売された第1号機のAT33Eは、「ビクターMC-1の弟分というイメージもある」という故・長岡鉄男氏の激賞もあって爆発的なヒット作となり、1980年代前半の読者訪問記事「長岡鉄男のオーディオ・クリニック」などでは「持ってない人の方が珍しいんじゃないか?」と思われるほどの驚異的な普及率を見せていました。

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オーディオテクニカ AT33E 1981年発売 ¥35,000(当時)

その当時、私はちょうどオーディオに興味を持ち始めた頃で、高校生にとって当時の3万5,000円はとても手の届かない大金だったことを覚えています。その頃というと「交換針が安いから」というだけでジュエルトーンMP-10J(本体¥3,900 交換針¥2,000 いずれも当時)を使っていたくらいでしたからね。ちなみにそのMP-10J、安いからといって決して見くびってはならないなかなかのサウンドを聴かせてくれてはいました。交換針のナガオカが作ったカートリッジだから、内容の割には非常に安価だったんだろうと今にして思います。

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ジュエルトーン(現:ナガオカ) MP-10J 1979年発売 ¥3,900(本体、交換針¥2,000)

そんな私は大学に入ってもそうそうバイト代で懐が潤っていたことなぞありもせず、やはり3万5,000円は高嶺の花でした。大学入学後、最初に買ったのは同社のAT27E(¥11,000)だったなぁ。

ようやく一念発起してAT33Eを買いに行ったら既に生産完了で、後継のAT33MLが店頭に並んでいました。3万8,000円と少し価格が上がり、値引き率も渋くなっていましたが、針先の長持ちする「マイクロリニア針」が装着されたということで自分を納得させ、ドキドキしながら購入したことを覚えています。1986年頃だったかなぁ。

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久しぶりに引っ張り出したAT33ML。普段はシェル不足で仕舞い込んでいたが、余っていたAT-LH18に取り付けて撮影した。そういう次第で本調子ではないものの、音を聴いてみるとやはりなかなか聴かせるものを持っている。

初めて音を聴いたAT33MLには驚きました。もうAT27Eなんてまるで及びもつかぬ高解像度と駆け上がる切れ味、ハイスピード&パワフルに音楽を明るく楽しく歌い上げる、という表現は、それまで自分では結構積み上げていたつもりだったオーディオ観そのものを覆してしまうに十分なものでした。前述したガチガチ改造プレーヤーがまだ生きていて、割合にプレーヤーがしっかりしていたのも33MLの実力が理解できた要因ではあるのでしょうね。

それ以来、バイトで給料が出てはいろいろなカートリッジ(主に中古品でしたが)へ浮気を繰り返しましたが、解像度や切れ味に関してはビクターMC-L10(これも中古)が圧倒したくらいで、ありったけの音楽情報を放り出してアッケラカンと床に散りばめたような、ややチープながらワクワクするような楽しさは33MLにかなうものがありませんでした。

その後結構たくさんのカートリッジを入手し、いろいろと取り替えて使っていたこともあり、33MLはずいぶん長持ちしてくれました。何と今でも全然問題なく鳴ってくれるのです。「針先が減りにくい」というマイクロリニア針の宣伝文句に嘘はなかった、と断言してもいいんじゃないでしょうか。

その後、33にはいろいろな限定バージョンが出ました。1994年のAT33LTD(¥38,000 税抜き、AT33シリーズ33周年記念!)と95年のAT33VTG

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[リファレンス]

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