かくいう私ももうずいぶん昔の学生時分に文化祭の模擬店へ自分のアンプ(サンスイAU-D607)を持ち込み、スピーカーマトリックス接続でガンガン鳴らしていたら出力段を焼いちゃったことがありました。何かと気をつけなきゃいけない方式なのです。
長岡先生の適当な作例を探している折もおり、30年ぶりくらいに16Ωユニットが目の前へ舞い降りる。これを「天の配剤」といわずして何という! というわけで早速編集の林さんに連絡を取り、「先生のMX-1かMX-10を製作するのはどうでしょう?」と持ちかけました。
「MX-10は結構複雑な作例だし、作るとするとMX-1になっちゃうかなぁ。ともあれ、どちらを作るにせよ実現するならムックの大きな看板のひとつになるだろう」などと考えていたのですが、何と両方とも作ることとなったのには驚きました。いやはや、剛毅なものです。
禺画像] 1984年に音楽之友社から刊行された「長岡鉄男の傑作スピーカー工作」第8巻から今回のムックへ転載されたMX-10の構造図。私も長く編集者としてスピーカー工作のページを作ってきたが、恥ずかしながらこんなに分かりやすい図解を今に至るまで見たことがない。全10巻から成る「傑作スピーカー工作」そのものを全巻復刻してほしいくらいである。
しかも、製作は名手・最上鉦三郎さんが担当してくれるというではないですか! ご存じの人が多いでしょうね。最上さんは月刊「ステレオ」で長く自作ページを担当されてきた人で、一体どれほどの長さか分からないくらいの間、編集長を務められた人でもあります。また、毎年毎年「ステレオ」誌で発表される膨大な長岡先生の作例をほとんど一手に引き受けて作られていた人なんですね。これで私は大船に乗ったつもりになって工作現場へ向かったものです。
出来上がったMX-1とMX-10は、さすが名手のキャビネットと最新の限定ユニットを組み合わせただけのことはある、という異次元の超音場を聴かせてくれました。まぁこの辺は、よかったらムックをご一読下さい。私が試聴記を書かせてもらっています。
ざっと紹介しようと思って書き始めたら、またしてもずいぶん長くなってしまいました。まだまだ書かねばならない話題はたくさん残っていますが、この辺でひとまず「つづき」ということにさせて下さいな。
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